本来、労災保険とは、労働者の業務災害、または、通勤災害に対する補償を目的とした制度となっており、労働者ではない中小事業主や一人親方等の業務中の災害、または通勤災害については、補償しないことになっています。しかし、中小事業主や一人親方等の中には、業務の実態や災害の発生状況などからみて、労働者と同じように労災保険によって補償すべき方々が存在します。
こうした労災保険の適用がない中小事業主や一人親方等に関しては、特別に労災保険加入を認め、労働者に準じた補償をする制度を設けています。この制度を「労災保険特別加入制度」といいます。
労働保険(労災保険・雇用保険)は、一部の事業を除き、法人、個人の形態を問わず労働者(パートタイマー、アルバイトを含む)を一人でも雇っていれば適用事業所※1となりますので、事業主は加入手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。
加入せずに、労働保険料を納付しないと、行政機関から指導を受け、指導を受けたにも係わらず、手続を行わない事業主に対しては、政府が職権により成立手続を行い、労働保険料額を決定します。
その際、手続を行っていなかった過去の期間についてもさかのぼって労働保険料が徴収されます。
また、事業主の故意又は重大な過失により労災保険未加入期間中に労働災害が発生し、保険給付が行われた場合は、政府が事業主からさかのぼって労働保険料を徴収するほか、労災保険給付に要した費用の全部又は一部が徴収さることになります。
※1、雇用保険は、一定の条件を満たさない短時間労働者は対象とならないことがあります。
※2、法人の役員、同居の親族には、労災保険・雇用保険の対象とならない者もいます。
労災保険
労働者や特別加入した中小事業主等が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気になった場合、あるいは不幸にも死亡された場合に、被災労働者等や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。
雇用保険
労働者が失業した場合や労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行うものです。
また、失業の予防、労働者の能力開発や向上、その他労働者の福祉の増進を図るための事業も行っています。
委託できる事業主 | |
業種 | 労働者数 |
金融・保険・不動産・小売業 | 50人以下 |
卸売・サービス業 | 100人以下 |
その他の事業 | 300人以下 |
一人親方 | 株式会社等の法人事業所勤務の労働者 | 個人経営の事業所 | 法人の 代表者 |
個 人 事業主 |
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常用労働者 5人以上 |
常用労働者 5人未満 |
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労災保険 | 特別加入 | 会社で加入 | 会社で加入 | 会社で加入 | 特別加入 | 特別加入 |
雇用保険 | 加入不要 | 会社で加入 | 会社で加入 | 会社で加入 | 加入不要 | 加入不要 |
健康保険 | 公営国保 または 建設国保 |
協会けんぽ等適用除外の手続きにより建設国保に加入できる場合あり。 | 協会けんぽ等適用除外の手続きにより建設国保に加入できる場合あり。 | 公営国保 または 建設国保 ※協会けんぽ等へ任意加入できる場合あり |
協会けんぽ等適用除外の手続きにより建設国保に加入できる場合あり。 | 公営国保 または 建設国保 |
年 金 | 国民年金 | 厚生年金保険 | 厚生年金保険 | 国民年金 ※厚生年金保険に任意加入できる場合あり |
厚生年金保険 | 国民年金 |